地質調査研究報告
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研究論文
クリティカルテイパーモデル‐土質力学の基礎からの導入
高下 裕章 野田 篤
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2020 年 71 巻 1 号 p. 49-61

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抄録

クリティカルテイパーモデルはプレート収束域に向かって先細る楔形を示すfold-and-thrust beltや付加体の断面形状と断層強度の関係を理解するためのモデルとして土質力学を基礎に考案された.この理論モデルを用いることで,地形パラメータから(1)沈み込み帯同士の比較,(2)単一沈み込み帯内での空間分布の比較,(3)単一沈み込み帯内での時間変化の比較が可能となる.ただし,本理論は日本における地質分野では利用者が少ない.これは日本語による解説がほとんどないこと,土質力学を基礎とすることによると考えられる.本解説では,クリティカルテイパーモデルについての読者の理解の助けとなることを目的として,まず土質力学におけるモール・クーロンの破壊基準から一般的なクリティカルテイパーモデルを導入し,さらに最新の論文でどのように活用されているか,その計算方法までを紹介する.

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© 2020 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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