2020 年 71 巻 2 号 p. 77-83
三重県志摩半島に分布する三波川帯の御荷鉾緑色岩類中にはアルカリ角閃石と推測される紫~青色角閃石が普遍的に産する.ドレライト質岩中の角閃石の化学組成をEPMAにて測定した結果,ナトリウム角閃石のマグネシオリーベック閃石とナトリウム・カルシウム角閃石のフェリウィンチ閃石であることが判明した.これらのアルカリ角閃石と緑泥石,緑れん石,アルバイト,アクチノ閃石,赤鉄鉱の共存から,本ドレライトはパンペリー石–アクチノ閃石相ないし緑色片岩相と青色片岩相の漸移相程度の変成を被っていると考えられる.