2020 年 71 巻 5 号 p. 463-472
関東平野西部の日高台地地下にける海成更新統の有無を明らかにすることを目的として,防災科学研究所が設置した日高観測井(掘削長1832.0 m)の深度550 m以浅のカッティングス試料に含まれる珪藻化石群集を分析した.珪藻化石は深度130 ~200 mの区間のカッティングス試料から産出した.珪藻化石が産出したすべての試料において,海~汽水生種が卓越することから,これらの区間は浅海成層を含むことが示唆される.関東平野において1.45 ~0.7 Maの年代指標となる珪藻化石Lancineis rectilatusは産出しないことから,日高観測井の海成層は川島コア(日高観測井の北東約14 kmに位置する掘削長600 mのボーリングコア)におけるL. rectilatus産出区間帯よりも下位に対比され,加治丘陵に分布する下部更新統仏子層に対比される.