2020 年 71 巻 6 号 p. 509-516
関東山地東縁部に分布する下部白亜系高岡層の石灰質砂岩より,砕屑性ジルコンのU–Pb年代測定を行った.U–Pb年代の最若粒子年代及び最若ピーク年代は,109.7 ±0.8 Ma及び110.0 ± 1.0 Maが得られた.これらはともにアルビアン期前半を示し,高岡層がアルビアン期前半以降に堆積したことを示唆する.また高岡層の石灰質砂岩は,ペルム紀~三畳紀(276 ~ 240 Ma)のジルコンを多く含むことを特徴とする.砕屑性ジルコン年代及び砂岩の岩相より,高岡層の後背地には,ペルム紀~三畳紀の花崗岩類と秩父帯付加コンプレックスが分布していたと考えられる.堆積年代より高岡層は,山中白亜系の三山層に対比される.しかし両層は,ジルコンのピーク年代スペクトルの特徴に違いが認められ,異なる後背地によって特徴づけられる.