地質調査研究報告
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京都府北部丹後地方に分布する古第三紀珪長質深成岩類の貫入年代と 山陰帯深成活動の年代対比
中江 訓
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2021 年 72 巻 1 号 p. 1-21

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抄録

丹後地方山陰帯の珪長質深成岩類(宮津花崗岩・雲原花崗岩)について,LA–ICP–MS法によるジルコンU–Pb年代を測定した.その結果,宮津花崗岩のうち中粒花崗岩からは61.7 ± 1.0 Ma,粗粒花崗岩からは63.2 ± 1.0 Maが得られ,また雲原花崗岩からは65.7 ± 1.2 Maと65.1 ± 1.2Maを得た(誤差は2σ).これらの値は新旧2 つの異なる範囲の年代に分かれ,宮津花崗岩と雲原花崗岩は年代値によって識別できることを示唆する.先行研究による放射年代として,宮津花崗岩から61.9 Maと60.4 Ma(Rb–Sr全岩–鉱物アイソクロン年代)と 64.8 ~ 58.0 Ma(黒雲母K–Ar年代)が,また雲原花崗岩から67.2 Ma(黒雲母K–Ar年代)が知られている.Rb–Sr年代は本研究によるU–Pb年代とほぼ同じか若い値を示すのに対し,K–Ar年代はU–Pb年代だけでなくRb–Sr年代とも調和しない.一般的に同一試料の年代値は,年代測定法における閉鎖温度に従いU–Pb法,Rb–Sr法,K–Ar法の順に若くなることが期待されるが,宮津花崗岩・雲原花崗岩から得られた年代値はこのような傾向を示さない.

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© 2021 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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