地質調査研究報告
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論文
北部北上帯ジュラ紀付加体中に産する前期ペルム紀流紋岩とその帰属
内野 隆之
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2023 年 74 巻 2 号 p. 61-69

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抄録

北上山地,北部北上帯南縁部のジュラ紀付加体中津川コンプレックス中には長さ約2 km,幅約150 mにわたって巨斑晶質流紋岩が産する.本流紋岩はこれまで前期白亜紀の岩脈と考えられていたが,ジルコンのU–Pb年代を測定した結果,約280 Ma(前期ペルム紀)のものであることが判明した.カリ長石を大量に含む本岩はジュラ紀付加体の構成要素とは考えづらいことや,北部北上帯の南側に位置する根田茂帯にはそれを構成する付加体よりも古いオルドビス紀の超苦鉄質岩・深成岩類や古生代の低温高圧型変成岩が構造岩塊として産していることから,巨斑晶質流紋岩も白亜紀以降の構造運動で移動・定置した構造岩塊であると考えられる.本岩は,日本列島ではほぼ失われている古生代後期の島弧火成岩体の断片である可能性がある.

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© 2023 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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