目 的
四国巡礼者の地震・津波に対する防災減災行動の特性を明らかにし,四国巡礼者自らが地震・津波から生命・身体を守る行動をとれるための示唆を得ることである。
方 法
令和3年3・4月の土・日4日間に,四国巡礼を観光バス以外で行っている者に対し,37番札所岩本寺で,危機意識,地震・津波に関する認知,巡礼中の不安等について、無記名自記式質問紙調査を実施した。数量データは各項目単純・クロス集計後,変数間の関係をWindows spssver.25を用いてχ二乗検定又はFisherの正確確率検定で確認した。(P<0.05%)質的データは,類似する意見をカテゴリ化して整理し,特徴を確認した。
結 果
協力者は120人であり,男性,40~69歳代,自動車利用,初回巡礼が半数以上であった。
危機意識56.7%,地震・津波に関する認知の内ハザード知識69.2%,情報解釈91.7%であったが,避難知識49.2%,避難知識理解45.8%であった。危機意識とハザード知識の有無には有意な関係が見られた。巡礼中の不安は,15コード,3カテゴリ抽出され,備えは51.7%が実施していた。最も行っている備えは,看板・表示・避難場所を確認しながら移動する 29.6%であった。
考 察
四国巡礼者の地震・津波に対する防災減災行動は,巡礼路にある避難看板の情報解釈はできるが,避難行動に繋げる為の地震・津波避難知識・理解の不足という特性がある。よって避難看板の表示を工夫するなどしてそれらを補完し,確実に避難行動に繋がるようにしていくことが有用であると示唆された。