抄録
ポータブル蛍光X線分析装置を用いて,エジプト・シナイ半島の遺跡から出土したイスラーム・ガラスの非破壊分析を現地にて行った.定性分析の結果,無装飾ガラスはMn,Br,Sr,Pbの含有量に類似性のある幾つかのグループに分類できることが分かった.223点の出土ガラスについて化学組成による分類を試みたところ,K,Ca強度比とSrO濃度によって分類することができた.Srはガラス原料である砂や植物に含まれている元素であり,イスラーム・ガラスを化学組成からナトロン・ガラスと植物灰ガラスに分類する新たな指標となる可能性が示唆された.また,TiとSrの濃度を指標とする分類によっても,アルカリ成分と同様の分類傾向が見られた.