分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
人工海水を泳動液とするキャピラリーゾーン電気泳動法による海水中の微量無機陰イオンの定量
福士 惠一横田 久里子中山 雄介石尾 暢宏宮道 隆
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2005 年 54 巻 8 号 p. 665-677

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抄録
キャピラリーゾーン電気泳動法による海水中の微量無機陰イオン定量法について述べた.泳動液として人工海水を用いることにより,海水試料中の高濃度塩化物イオンの妨害を受けずに,臭化物,亜硝酸,硝酸イオンを同時定量できた.本法は試料中の塩分の影響を受けないため,河川水,雨水等の海水以外の環境水にも適用できた.次いで,オンライン濃縮法として一時的等速電気泳動(TITP)を利用することにより,亜硝酸及び硝酸イオンの高感度同時定量法を確立した.本法による亜硝酸及び硝酸イオンの検出限界(LOD,S/N=3)は,それぞれ2.7,3.0 μg/lであった.本法による沿岸海水中の亜硝酸及び硝酸イオン定量結果は,ナフチルエチレンジアミン吸光光度法による結果とよく一致した.更に,リン酸イオンをターミナルイオンとするTITPを用い,ヨウ化物及びヨウ素酸イオンの同時定量法を確立した.本法によるヨウ化物及びヨウ素酸イオンのLODは,4.0,5.0 μg/lであった.
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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2005
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