分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
Kjeldahl法によるしょうゆの全窒素定量における分解条件の最適化
野澤 慎太郎坂井田 健一鈴木 忠直安井 明美
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2006 年 55 巻 1 号 p. 15-21

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抄録
FAO/WHO合同食品規格委員会(the Codex Alimentarius Commission,CAC)に提案するケルダール法によるしょうゆの全窒素定量法について,分解条件の最適化を行うため,試料の採取方法,H2SO4,K2SO4及びCuSO4(II)•5H2O添加量と添加方法,試料分解液が透明化後の分解継続時間を検討した.JAS検査法で採用されている容量採取法では,しょうゆの粘度の影響で精確に採取できず,全窒素定量値の信頼度も低いことから,試料1 mlの重量を測定し,定量値%(w/w)を比重で補正して全窒素分%(w/v)を求める方法を採用した.分解条件は,ケルダール分解装置を使用した場合,試料1 mlをH2SO4 10 ml,K2SO4 10 g,20% CuSO4(II)•5H2O水溶液1 mlを加えて分解し,分解液透明化後,約80分間加熱を続けて分解を完了するという条件が得られた.また,ブロック加熱装置を用いた場合,K2SO4添加量は8 gが適当であり,それ以外の条件はケルダール分解装置と同じであった.この分解条件とJAS検査法の条件とを比較するため,全窒素分の異なる3種類のしょうゆ,リジン水溶液及び (NH4)2SO4水溶液を用いて併行試験及び添加回収試験を行った.その結果,新たに設定した分解条件は現行のJAS検査法より併行精度が高く,98~100% の添加回収率が得られた.
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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2006
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