分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
オンラインガス拡散/イオン交換濃縮法を用いる海水中微量アンモニウムイオンのフローインジェクション吸光光度定量
福井 啓典大野 慎介樋口 慶郎手嶋 紀雄酒井 忠雄
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2007 年 56 巻 9 号 p. 757-763

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抄録

外洋海水や汚染の少ない新鮮海水中のアンモニウムイオンの濃度はシングルppbからsub-ppbレベルであり,これを直接定量することはマトリックスの影響により困難である.そこで,海水塩成分からの妨害除去にガス拡散分離技術を,更に陽イオン交換樹脂カラムを用いる濃縮技術をフローインジェクション分析法にオンライン前処理法として組み入れることで,高選択な微量アンモニウムイオンの定量法を確立することができた.試料水を10分間ガス拡散装置に通し,その後イオン交換濃縮を行った後,0.5 M塩酸で溶離し,検出系に導き吸光光度検出を行うことで,検出限界はN-NH4として0.5 ppb,30分間拡散/濃縮では0.2 ppbという結果を得た.1 ppb標準溶液を10分間拡散/濃縮した後,定量したときの相対標準偏差は0.68%(n = 5)と良好で,実際に海水中のシングルppbレベルのアンモニウムイオンの定量に応用することができた.本システムのバルブ及びポンプの一部は,自作のタッチパネル形式の制御装置で自動制御することができ,半自動分析システムが構築された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2007
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