分析化学
Print ISSN : 0525-1931
報文
水溶液中におけるテトラヒドロクルクミンの酸化安定性と酸解離特性の評価
佐藤 きよ子壹岐 伸彦高橋 透星野 仁
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 57 巻 4 号 p. 257-263

詳細
抄録

クルクミンの還元体であるテトラヒドロクルクミンはクルクミンに比べ抗酸化活性が高いと言われている.本研究ではその抗酸化活性解明を目的とし水溶液中における安定性と酸解離特性を初めて明らかにし,クルクミンと比較検討した.クルクミンはpH 3.0~10.0の水溶液中で空気酸化を受け1時間以内に分解した.特にpH 8.0では速やかに分解した(半減期1.0 min).一方テトラヒドロクルクミンは2時間の間分解せず,空気酸化に対する高い安定性が示された.吸光光度滴定によりテトラヒドロクルクミンの酸解離定数を算出したところpKa1 = 8.59 ± 0.06,pKa2 = 9.53 ± 0.01,pKa3 = 10.74 ± 0.02となり,比較のため求めたクルクミシの酸解離定数(pKa1 = 8.47 ± 0.032,pKa2 = 9.43 ± 0.025,pKa3 = 10.59 ± 0.03)より各々0.1程度大きい値となった.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry 2008
前の記事 次の記事
feedback
Top