分析化学
Print ISSN : 0525-1931
報文
琵琶湖水におけるトリハロメタン前駆物質としてのフミン物質と藻類由来有機物の動態解析
小原 慎弥上原 隆志木村 圭一郎吉田 哲郎藤原 翔平水口 裕尊布施 泰朗山田 悦
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 58 巻 4 号 p. 231-240

詳細
抄録
2006年12月から琵琶湖水を採水し,湖水中の溶存有機物質(DOM)を疎水性樹脂(DAX-8)で疎水性酸(HoA),疎水性中性物質(HoN)及び親水性有機物質(Hi)にカラム分画し,DOM及びその画分の鉛直分布や月変化など動態解析を行った.DOMとその画分の鉛直分布は,5月までは水深に関係なくほぼ均一だが,夏季6~9月には水温躍層(水深10~20 m)の間で大きく変化した.表層水のDOM,Hi及びHoA濃度は,5~9月に増加し,水深の深い所との濃度差が大となった.これらが増加した春季から夏季にはクロロフィルの増加が見られ,フミン物質の増加に加えて内部生産によるHi濃度の増加が影響していると考えられる.トリハロメタン(THM)生成能は,水深10 m付近で高く,水深20 m以下では35~40 μg/Lの値で水深による変化は小さかった.培養時における藻類由来有機物の単位有機炭素当たりのTHM生成能はMicrocystis aeruginosaCryptomonas ovataStaurastrum dorcidentiferumの順で,その種類によってかなり異なり,土壌起源のフミン物質のTHM生成能より低い値を示した.一方,生分解時における藻類由来有機物の単位有機炭素当たりのTHM生成能は,その種類による違いは少なく,湖水の値に近い値を示した.
著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry 2009
前の記事 次の記事
feedback
Top