分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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ウンベリフェロンによるコバルト(II)のフローインジェクション化学発光定量
渡辺 邦洋大西 悠四反田 功板垣 昌幸
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2009 年 58 巻 6 号 p. 531-537

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抄録

フローインジェクション分析法(FIA)によるウンベリフェロンを用いたCo(II)の化学発光(CL)定量法を開発した.フローシステムはコバルト(line 1),検出試薬(ウンベリフェロン,陽イオン界面活性剤 : line 2),過酸化水素(line 3)の3流路から成り,最適条件下,Co(II) 0~10 ppbの範囲で検出限界は0.4 ppb(S/N=3),定量下限は1.2 ppbであった.また本反応のCL強度には陽イオン界面活性剤が大きく影響を与え,特にセチルジメチルエチルアンモニウムブロミドが最も高いCL強度を与えた.本反応系中では過酸化水素に起因する多くのラジカル種が発生しており,特に一重項酸素(1O2)消去剤によりCL強度は大きく減少する.実験によって1O2の消去剤であるL-ヒスチジンは0.1%,ヒドロキノンは11.5% までCL強度を抑制した.結果,本CL反応はウンベリフェロンと1O2の反応によるものと推測された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2009
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