分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
水100% 移動相を用いた高速液体クロマトグラフィー逆相固定相の保持挙動
長江 徳和
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59 巻 (2010) 3 号 p. 193-205

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抄録

水100% 移動相,塩,酸などを含む緩衝液移動相もしくはこれら100% 水系溶媒に有機溶媒を数パーセント混合した移動相を一般的なアルキル基結合型逆相固定相に用いた場合,試料の保持が一定せず,時間の経過とともに保持が減少し,実質的には使用不可能であると考えられてきた.本報告は水100% 移動相を用いた場合の保持挙動を,固定相アルキル基の長さ,固定相アルキル基の結合密度,充填剤細孔径,エンドギャッピングの有無,カラム温度,移動相の塩濃度及びカラム出口以降の背圧について検討した.更に数パーセントの有機溶媒を移動相に添加した場合の保持挙動についても検討した.これらの結果から従来保持の減少の原因であると考えられてきた「アルキル基の寝込み」では説明のできない事象が認められた.また,逆相カラム内を水100% 移動相に置換後,送液ポンプを停止すると,表示圧力が0 MPaに下がった後にカラム出口より移動相が出てくることを確認した.つまり固定相表面に濡れない移動相は毛管作用により抜け出てしまう.これらの結果から,水100% 移動相を用いた場合の逆相固定相の保持の減少は,毛管作用により逆相充填剤細孔内から移動相が抜け出ることが原因であることを突き止めた.更に乾燥したC18充填剤の濡れ性を試験した結果,逆相固定相はメタノール/水(50 : 50)の移動相溶媒でも濡れないことが確認された.しかしメタノール/水(50 : 50)移動相を用いても保持は減少しない.カラム周りの圧力を減圧調節し充填剤細孔内からの移動相の抜け出しを調べることにより,メタノール/水(50 : 50)移動相は固定相を濡らさないが,毛管作用により抜け出そうする圧力が大気圧以下であるため,実際には抜け出すことがなく,保持が安定していたことが確認された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2010
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