抄録
イネにおけるCdの蓄積機構に関する新しい知見を得ることを目的として,植物体組織を非破壊で2次元多元素同時分析が可能な放射光マイクロビーム蛍光X線(SR-μ-XRF)分析とX線吸収微細構造(XAFS)解析を応用した.その結果,Cdを添加して栽培した二品種のイネ(日本晴,密陽23号)について,茎におけるCd及び植物必須元素の蓄積部位と,各器官(根,茎,葉)に蓄積されたCd化学形態が明らかになった.定量結果から,地下部では密陽23号より日本晴のCdの濃度が高いのに対し,地上部では二品種とも同程度のCdの濃度であった.またCdは維管束に多く分布し,品種間差は見られなかった.Cdの化学形態に関しては,根ではCd-Sの形態で存在し,品種間差は見られなかった.一方,日本晴の茎では,添加期間が長くなるにつれてCd-Sの割合が1.5倍になっているのに対し,密陽23号におけるCd-Sの割合は大きく変化しなかった.また,日本晴の葉では添加期間が長くなるにつれてCd-Sの割合が減少するのに対し,密陽23号ではCd-Sの割合が増加していた.このことから,地上部へ輸送する際の化学形態の差がCdの蓄積挙動の違いに影響を与えている可能性が示唆された.