分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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逆相カラムが示す陰イオン交換作用を利用した無機陰イオンの高速液体クロマトグラフィー分析
宮下 正弘瀬山 義幸小畑 俊男
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2011 年 60 巻 10 号 p. 799-805

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抄録

逆相のHydrosphere C18を分析カラムに,また,リン酸溶液-アセトニトリルの混合溶媒を移動相に用いる紫外吸光検出/高速液体クロマトグラフィーで,無機陰イオン(Br, NO3, I及びSCN)を分析する方法を検討した.本分析法では,移動相にイオン対試薬を添加しなくても無機陰イオンは保持を示し,その保持は移動相のアセトニトリルの含量を増やすと増大した.このような無機陰イオンの保持挙動は,Hydrosphere C18が示す陰イオン交換作用に基づく挙動であると考察した.0.1% リン酸-アセトニトリル(80 : 20, v/v)を移動相に用い,210 nmの検出波長でこれらの無機陰イオンの定量性を検討した結果,Br, I及びSCNは良好な定量性を示すことが分かった.無機陰イオンの限外ろ過膜の透過性を調べる実験に本分析法を応用した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2011
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