抄録
MALDI-MS及びLC-APCI-MSを用いてpolyethylene glycol(PEG),polyethlene oxide-block- polypropylene oxide(PEO-b-PPO)及びpolydimethylsiloxane(PDMS)にフェムト秒レーザーを照射したときの分解生成物の分析とその分解機構を調べた.レーザー光分解は水溶液,有機溶媒のどちらでも数分の短時間で起こることが分かった.レーザー光分解生成物の末端基は超音波分解と同じであった.しかし,水溶液中のレーザー光分解生成物は,高分解能マススペクトルの解析から,熱分解生成物と同じではなく酸素原子が付加した分解物が生成していた.したがって,レーザー光分解の機構は,超音波分解と同様にキャビテーションに基づく力学的なせん断及びレーザーアブレーションによる水や溶存酸素からのラジカルの生成による化学反応が分解に関与していることが分かった.