分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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走査型断熱式熱量計を用いるリチウムイオン二次電池の高温環境下における熱特性評価
石川 洋明梅田 実内田 勇
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2011 年 60 巻 9 号 p. 735-741

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抄録

高温環境下におけるリチウムイオン二次電池の熱的挙動の分析は,電気自動車への応用において最重要課題の一つである.二種類のリチウムイオン二次電池について,走査型断熱式熱量計(ARC)と電気化学的測定とを組み合わせて,充放電中の温度変化や,熱暴走時の発熱挙動,開回路電圧,内部抵抗値の測定を行った.その結果,充放電試験において,異なる負極材料に起因すると思われる熱挙動の違いを確認した.また,熱暴走試験において,電池構成材料(電極,セパレーター)による発熱挙動の違いを観測することができた.さらにこのとき,セパレーターのシャットダウンによるものと思われる内部抵抗の急激な増大を検出した.以上のように,ARCと電気化学的測定とを組み合わせることにより,リチウムイオン二次電池の構成材料に起因する,熱暴走を含む熱的特性や電気化学的特性を計測することができた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2011
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