分析化学
Print ISSN : 0525-1931
年間特集「火」:報文
食品の加熱調理により排出されるオイルミスト中の多環芳香族炭化水素の分析
田中 伸幸大竹 加耶子津崎 昌東宮崎 あかね
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2012 年 61 巻 2 号 p. 77-86

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抄録

8種類の食材を対象に,加熱調理した際に発生するオイルミストを採取して,これに含まれる多環芳香族炭化水素(PAHs)及び脂肪酸をガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)を用いて分析した.その結果,食材1 gの加熱調理によりPAHsは0.06~976 ng g−1,脂肪酸は0.000250~7.51 mg g−1発生した.また,サンマの焼き調理の結果,PAHsの生成は,食材に炎が直接触れることで100倍以上に増加することが分かった.加えて,PAHsの生成量は,元の食材中の脂質含有量と正の相関が認められた一方,タンパク質や炭水化物含有量とは相関が認められなかった.このことから,PAHsは主として脂質の不完全燃焼により生成すると考えられた.PAHsの発生量が多かったサンマ及び牛肉について,調理排気の吸入による発がんリスクを評価した.その結果,サンマ(網焼き),サンマ(直火),牛肉(網焼き)調理時のPAHs吸入による発がんリスクは,それぞれ1.1×10−7,4.3×10−5,2.0×10−7と算出された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2012
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