抄録
海洋の炭素窒素循環を詳細な時空間規模で描写するためには,現在のように研究観測船を用いた高精度ではあるが離散的観測データ群ではその実現は困難である.そこで,これまでに得られた高精度な分析化学データ群を基に炭素・窒素成分のパラメタリゼーション(数量化した経験式の構築)を行い,これを高時空間分解能な衛星観測や高頻度で海洋内部の情報を取得できる中層プロファイリングフロートから得られるデータ群に適用することで,海洋の詳細な炭素窒素循環像を描き出すことが可能となる.本稿では,これまでに行われている海洋炭素循環のパラメタリゼーションの研究例を紹介するとともに,海洋窒素循環のパラメタリゼーションの試みを報告する.