分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
小型蒸留装置を用いる蒸留前処理/シーケンシャルインジェクション分析法による排水中フェノール類の定量
山下 真以大野 慎介手嶋 紀雄酒井 忠雄林 則夫栗原 浩
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2013 年 62 巻 8 号 p. 693-699

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抄録

本研究では,工場排水試験法の改良を志向して,様々なきょう雑物や懸濁物が含まれる試料にも対応可能な排水中フェノール類の小型蒸留装置を製作し,4-アミノアンチピリン法に基づくシーケンシャルインジェクション分析(SIA)法を用いて留出液中のフェノール類を定量する手法を開発した.蒸留に先立ち,まずフェノール標準溶液を用いてSIAシステムの最適化を行ったところ,フェノール濃度が10 μg L-1~10 mg L-1の濃度範囲で良好な直線が得られた(r2=0.998).SIAによるフェノール標準溶液の検出限界は0.62 μg L-1,定量下限は2.0 μg L-1であり,SIAピークの出現速度は,1ピーク当たり75秒と迅速であった.フェノール標準溶液を本小型蒸留装置で蒸留後,留出液を最適化後のSIAにより分析した結果,95~103% の良好な回収率を得た.本小型蒸留装置による試料体積は最小で35 mLであり,現行のJIS法の約1/7に低減された.各種の排水試料を本法により分析した結果は,JIS K 0102の試験方法による結果と良く一致した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2013
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