2014 年 63 巻 10 号 p. 825-830
コーヒーのアラビカ種及びロブスタ種についてそれぞれのバイオマーカーを探索し,両者を判別できる手法の確立を目的に検討を行った.測定にはダイレクトインレットプローブ(DIP)とイオン付着イオン化質量分析法(IA-MS)を兼ね備えた分析装置を使用した.この装置により固体試料であっても直接分析することができ,また,擬分子イオン中心のマススペクトルデータを網羅的に取得することで,簡便かつ迅速なスクリーニング分析が可能となる.本手法を用いて,産地の異なる9種類のコーヒー焙煎豆を測定した結果,アラビカ種からはカーウェオールパルミチン酸エステル,ロブスタ種からは16-O-メチルカフェストールパルミチン酸エステルと推定されるピークがそれぞれ特徴的に検出され,両種の判別が可能であった.さらに,検出されたバイオマーカーを用いて,アラビカ種とロブスタ種をブレンドした