分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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ダイレクトインレットプローブ/イオン付着イオン化質量分析法を用いるコーヒー豆のアラビカ種及びロブスタ種の識別と配合比率の推定
奥村 亮平熊田 紀子津越 敬寿三島 有二小泉 英樹
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2014 年 63 巻 10 号 p. 825-830

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抄録

コーヒーのアラビカ種及びロブスタ種についてそれぞれのバイオマーカーを探索し,両者を判別できる手法の確立を目的に検討を行った.測定にはダイレクトインレットプローブ(DIP)とイオン付着イオン化質量分析法(IA-MS)を兼ね備えた分析装置を使用した.この装置により固体試料であっても直接分析することができ,また,擬分子イオン中心のマススペクトルデータを網羅的に取得することで,簡便かつ迅速なスクリーニング分析が可能となる.本手法を用いて,産地の異なる9種類のコーヒー焙煎豆を測定した結果,アラビカ種からはカーウェオールパルミチン酸エステル,ロブスタ種からは16-O-メチルカフェストールパルミチン酸エステルと推定されるピークがそれぞれ特徴的に検出され,両種の判別が可能であった.さらに,検出されたバイオマーカーを用いて,アラビカ種とロブスタ種をブレンドしたばい煎豆,抽出液さらに加熱殺菌済抽出液のブレンド比率の推定が可能であった.本手法は,食品の品質や産地を簡便かつ迅速に測定できるツールとして広く活用できる可能性が示唆された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2014
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