分析化学
Print ISSN : 0525-1931
報文
ラマン散乱,X線回折,及びEmpirical Potential Structure Refinementモデリングによる亜臨界硝酸マグネシウム水溶液の三次元構造の可視化
山口 敏男李 孝成山内 希夫福山 菜美吉田 亨次
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 64 巻 4 号 p. 295-308

詳細
抄録

常温常圧から40 MPa,350℃ までの1 mol dm-3硝酸マグネシウム水溶液のラマン散乱測定を行った.温度が上昇するにつれて,1050 cm-1のN-O対称伸縮振動バンド(n1)は低波数側へシフトした.一方,2540 cm-1の水のOD対称伸縮振動バンドは,温度上昇とともに高波数側へシフトした.いずれのバンドにも200℃ 付近に屈折点が観測され,NO3イオンの水和と溶媒の水の構造変化が起こることが示唆された.40 MPa,常温から210℃ までの硝酸マグネシウム水溶液についてX線回折測定を行った.得られた構造因子を基に二体ポテンシャルを修正する,empirical potential structure refinement(EPSR)モデリングにより,溶媒水とイオン水和及びイオン対の三次元構造を可視化した.溶媒水の第一配位殻では温度上昇伴う構造変化は見られなかった.しかし,第二水和殻は平均配位数が25℃,0.1 MPaで10.5から,210℃,40 MPaで8.5へ減少した.Mg2+イオンは,25℃,0.1 MPaで6個の水分子が八面体構造で配位しているが,210℃,40 MPaでは平均1個のNO3イオンが第一水和殻に侵入してMg2+とイオン対を形成した.NO3イオンの平均配位数は,25℃,40 MPa下では11.2であり,210℃,40 MPaでは9.8へ減少した.NO3イオンは,Mg2+イオンに単座配位し,Mg2+-ON-Nの角度は約150°であった.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry 2015
前の記事
feedback
Top