分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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化学発光HPLCによる血漿中パラコート及びジクワットの同時定量
新藤 敬梧岸川 直哉大山 要黒田 直敬
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2015 年 64 巻 8 号 p. 581-587

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抄録

パラコート及びジクワットは世界中で広く利用されている除草剤であるが,ヒトに対しても強い毒性を示す化合物である.本研究では,パラコート及びジクワットの同時定量を目的として,これらの毒性発現機構である活性酸素発生能を利用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)化学発光定量法の開発を行った.本法は,シリカカラムを用いたHPLCにより分離したパラコート及びジクワットに,還元剤ジチオスレイトールを混合し,これにより生じる活性酸素をルミノールにより化学発光検出するという方法である.開発したHPLCシステムにおいて,パラコート及びジクワットはそれぞれ保持時間16.0及び13.0分に検出され,その検出下限(S/N=3)はそれぞれ40及び53 nMであった.本法をヒト血漿しょう中のパラコート及びジクワットの測定へと応用した結果,50% トリクロロ酢酸の添加による除タンパク操作のみで,血漿成分の影響を受けることなく選択的にこれらの化合物を定量可能であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2015
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