2017 年 66 巻 1 号 p. 1-10
タンパク質を検出するための分子は"選択的"であるほど良いというのが一般的な理解である.しかし,近年,従来とは異なる発想にもとづく「交差反応的光学フィンガープリンティング法(COF法)」というタンパク質センシング法が提案された.この方法は,従来,タンパク質の検出にとってマイナスと捉えられてきた"交差反応的"な相互作用を利用する.本稿では,はじめにCOF法を概説し,その後,COF法を構築するために酵素/イオン性高分子間で形成したポリイオン複合体(PIC)を利用した著者らのアプローチを紹介する.このPICを用いるCOF法では,異なる性質をもつ複数のPICをタンパク質と相互作用させることにより,タンパク質の物性を反映した"酵素活性のフィンガープリント"を得る.フィンガープリントを統計的に解析することで,ヒト血