分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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テラヘルツ帯電磁波を活用した医薬品・有機膜の非破壊非接触品質分析
鈴木 大地河野 行雄
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2017 年 66 巻 12 号 p. 893-899

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抄録

医薬品や工業用材料等の製造業界において製品の安全性・信頼性への要求は年々増加しており,そのために高い品質を保証する検査手法の開発・導入が重要課題の一つとして認識されている.そこで本研究では,工程内検査における新規の非破壊・非接触分析手法としてテラヘルツ帯(THz, 1012 Hz)電磁波による分析手法を活用し,医薬品・有機膜等の品質分析を行った.THz帯電磁波特有の有機物に対する適度な透過性や指紋スペクトルを利用することで,可視光での画像解析や赤外分光といった既存の分析手法では難しい,パッケージ内の医薬品の分子同定や有機膜の膜厚評価,多層有機膜内部におけるサブミリスケールの欠損や髪の毛・化学薬品混入の検査といった品質分析を実証した.本技術は医薬品・有機膜をはじめとする様々な製品における高い品質を保証する分析技術であるといえ,製造業界における新規な検査手法としての実用化が期待される.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2017
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