分析化学
Print ISSN : 0525-1931
特集「有機微量分析の新展開」:技術論文
イオンクロマトグラフィーによる牛乳中のカリウム,マグネシウム及びカルシウムの定量
麻田 新吉川 賢治櫻川 昭雄長嶋 潜
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2017 年 66 巻 2 号 p. 67-72

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抄録

牛乳中に多量に含まれているカリウム,マグネシウム及びカルシウムの定量を目的として,除タンパク法の検討及びイオンクロマトグラフィーによる定量法の確立に関する検討を行った.食品に含まれているタンパク質の除タンパク法として,酸添加法,有機溶媒添加法及び限外ろ過について比較検討し,除タンパク法として酸添加法における酸の種類及び添加量の検討を行った.最適条件下における定量下限(S/N=10,注入量: 100 μL)は,それぞれ25 μg L−1(カリウム),53 μg L−1(マグネシウム)及び50 μg L−1(カルシウム)であった.また,2.5~50 mg L−1で3成分とも良好な直線性(R2>0.999)を示した.確立した条件下で,牛乳処理液中の各イオンのピーク面積の再現性{相対標準偏差(RSD),n=10}を調べたところ,それぞれ0.32%(カリウム),0.50%(マグネシウム)及び0.67%(カルシウム)であり,過塩素酸の存在が測定結果に対して影響を与えていないことを確認した.本法を市販の牛乳中のカリウム,マグネシウム及びカルシウムの同時定量に適用し,公定法である誘導結合プラズマ発光分析法による定量値及び食品表示値と比較したところ,良好な相関関係が得られた.本法は,タンパク質を多く含む乳製品中の金属イオンの定量に有効であることが分かった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2017
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