2017 年 66 巻 2 号 p. 81-87
自動燃焼・イオンクロマトグラフィー(IC)システムはオートサンプラー,試料燃焼炉,吸収ユニット及びICより構成されている.これまでに3種の機種を開発したが,本報では有機微量元素用システムに改良を加え,有機化合物中のハロゲン及び硫黄の高速一斉分析法を検討した.装置面では,キャリヤーガスをアルゴン(ヘリウム)・酸素混合ガスから清浄空気に切り替え,分析コストの低減化を図るとともに,燃焼とクロマト展開時間のスケジュールを調整し,連続測定における分析時間を大幅に短縮した.分析面では,4種ハロゲンと硫黄を含む標準試料(NAC-st4)を開発し,有機検量線法により計5元素(F, Cl, Br, I, S)の検量線は,相関係数(r2)0.999以上を示した.本法は高い感度を示すことから,微量(試料量: 1.0~10 mg)及びさらに超微量(0.1~1.0 mg)試料に適用し,一時間当たり5~6検体を有機元素分析法の許容誤差内(0.3%)で処理することができた.