分析化学
Print ISSN : 0525-1931
分析化学総説
2014年末までの西部北太平洋における福島第一原子力発電所事故起源放射性セシウムの広がり
熊本 雄一郎青山 道夫濱島 靖典永井 尚生山形 武靖村田 昌彦
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2017 年 66 巻 3 号 p. 137-148

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抄録

2011年3月の福島第一原子力発電所事故によって放出された放射性セシウムが,2014年末までの約4年間にどのように北太平洋に広がっていったのかについて,著者らが得た最新の観測結果も含めてレビューした.日本列島南方を東向する黒潮・黒潮続流に由来する黒潮フロントの北側,すなわち混合海域及び亜寒帯域に大気沈着または直接流出した放射性セシウムは,東向きに流れる北太平洋海流に沿って深度約200 m程度までの海洋表層中を,日本近海から東部北太平洋のアラスカ湾まで運ばれた.一方,黒潮フロントのすぐ南側の亜熱帯域北部に大気沈着した放射性セシウムは,冬季に同海域で形成される亜熱帯モード水の南への移流に伴って深度約200~400 mの亜表層を速やかに南方に運ばれた.これらの観測結果から,2014年末までに福島第一原子力発電所事故由来の放射性セシウムは西部北太平洋のほぼ全域に広がったことが明らかになった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2017
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