2017 年 66 巻 3 号 p. 149-162
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって,大量の放射性物質が周辺に飛散した.事故直後より,放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として,有人のヘリコプタを用いた空からの測定方法が適用されている.本手法自体は,1980年代に日本独自に研究開発されていたものの,事故直後に適用できる状態ではなかったためモニタリングしつつデータ解析手法の体系化・最適化を進めてきた.本稿では,事故後体系化した上空からの放射線モニタリング手法及び測定結果についてまとめる.