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分析化学
Vol. 66 (2017) No. 4 p. 299-307

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http://doi.org/10.2116/bunsekikagaku.66.299

技術論文

東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年後の平成28年10月,福島県内の陸水の溶存態放射性Cs濃度はおおむね0.001~0.1 Bq L−1の範囲であり,採取した陸水を前処理なしで直接に測定できる濃度レベルではない.そのため,正確な濃度を定量するためには5~100 Lの陸水を濃縮する必要がある.水中の溶存態放射性Csの濃縮方法には,これまで蒸発濃縮法やリンモリブデン酸アンモニウム共沈法(AMP法)が環境放射能調査マニュアル等で推奨されていたが,近年,迅速かつ簡便に試料を処理することができるプルシアンブルーフィルターカートリッジ法や固相ディスク法等が開発され,モニタリングに活用されている.一方,従来法に新規開発法を含めた陸水中の放射性Csの前処理法に関する比較試験はなされていなかった.今回,0.01~1.0 Bq L−1の溶存態137Csが含有する3種類の水試料を用いて,蒸発濃縮法,AMP法,プルシアンブルーフィルターカートリッジ法,固相ディスク法,イオン交換樹脂法を対象に,国内18機関及び国際原子力機関により3種の試料の前処理及び分析を行った.その結果,試料ごとの変動係数(CV)は8~13%,機関ごとのCVは2~14% であり,かつ全検体数の80% 以上がzスコア±2以内に収まったため,今回採用された各前処理法は一定以上の精度が確保されていると判断された.

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