2018 年 67 巻 10 号 p. 599-606
マイクロチップやキャピラリー電気泳動などのミクロスケール分析技術は,pL〜nLオーダーの液体を操作して高速・高感度な分析を行うことが可能であり,一細胞レベルの極微量の生体試料を高感度に分析し得る手法として注目を集めている.一方でこれまで非常に多くの研究者がミクロスケール分析法を駆使して微量分析を行ってきたが,実際に狙った微量試料を確実かつ高感度に分析した例は少ない.これは,高性能なミクロスケール分析の要素技術を,分析システムとして効果的に組み合わせることが極めて複雑かつ難しいからである.著者はこれまでミクロスケール分析の要素技術の高性能化に取り組むとともに,それらをいかに組み合わせて一細胞を始めとする微量試料を分析するのかを検討してきた.本論文ではこれらの研究内容を紹介する.