分析化学
Print ISSN : 0525-1931
年間特集「膜」: 総合論文
電気化学分析の可能性を拡げるナノカーボン薄膜電極の開発
加藤 大鎌田 智之栗田 僚二吉岡 恭子芝 駿介藏屋 英介國武 雅司丹羽 修
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2018 年 67 巻 11 号 p. 635-645

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抄録

電気化学測定法は,分子の酸化還元反応の際に流れる電流や電極界面の電位を測定することで,対象物質を検出する手法である.簡便・安価な検出手法として期待される一方,測定できる電位範囲が狭く微量物質の検出も困難であることから,測定対象となる物質が限られる点が課題とされてきた.著者らはこれまでに,広い電位範囲や低いノイズ電流といった特性を有するスパッタナノカーボン薄膜電極の開発に取り組んできた.本薄膜の表面物性(親疎水性や表面粗さ)を制御することで,従来電極では検出できなかった全核酸塩基,グリア伝達物質,脂溶性抗酸化物質,あるいは酵素の直接電子移動などをきわめて高感度かつ再現性良く測定できることを見いだした.これらはナノカーボン薄膜材料の精緻な設計によって,電気化学分析の適用範囲が拡大されたものであり,飲料・食品・環境・生体・医薬といった多くの分野における利用が期待される.

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© 2018 The Japan Society for Analytical Chemistry
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