2018 年 67 巻 8 号 p. 445-451
Glycidyl methacrylate(GMA)とethylene glycol dimethacrylate(EGDM),もしくは,GMAとglycerol dimethacrylate(GDMA)のコポリマーである基材樹脂をそれぞれ合成後,エポキシ基を介してadenineを導入したAdenine修飾樹脂(Adenine-EGDM及びAdenine-GDMA)を調製し,核酸関連化合物に対する固相抽出特性を評価した.まず,adenine未修飾の基材樹脂を用いて親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)条件での固相抽出を行った結果,核酸関連化合物への特異的な捕捉は確認されなかった.その一方で,Adenine-EGDM及びAdenine-GDMAにおいては,cytidine及びguanosineで特に高い捕捉が確認された.しかし,水系(逆相分離)条件下でAdenine-EGDM及びAdenine-GDMAにおいて捕捉特性は確認されなかった.以上の結果より,HILIC条件下において確認された特異性が水素結合に由来するものであると考え,水素結合の阻害剤として働く水が存在しない,非水条件下での固相抽出を行った.その結果,HILIC条件下で確認された捕捉特性に加え,Adenine-EGDMにおいて,uridineに対しても特異的な捕捉特性が確認されたことから,Adenine修飾樹脂では修飾されたadenineに由来する水素結合性が主相互作用として働いていることが示唆された.