分析化学
Print ISSN : 0525-1931
年間特集「質」: 技術論文
大気圧ヘリウムパルスマイクロプラズマを用いる水素ガス中の硫黄定量法の開発
御船 星岡田 将太岩井 貴弘吉田 真優子岡林 識起宮原 秀一沖野 晃俊千葉 光一
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2020 年 69 巻 10.11 号 p. 577-584

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抄録

近年の地球温暖化などの環境問題の解決策として,使用時にCO2を排出せず多様な製造方法がある水素エネルギーが注目されている.その一方で,燃料電池自動車用の水素ガスの品質規格は厳しく制定されており,特に触媒毒であるSは総濃度が0.004 ppm以下と低く設定されている.従来行われてきたガスクロマトグラフィーによる分析では,Sが化学形態ごとに分離されるため,総S濃度の測定は困難である.そこで本研究では,簡便で高感度なS不純物分析のために,マイクロホローカソード放電プラズマを用いた発光分光分析装置の開発を行った.本研究で開発した分析装置は,Sを濃縮するための試料濃縮部,Sを励起するためのプラズマ発光部,Sの発光強度を測定する分光検出部から構成される.本実験装置に0.02〜1.0 μLのSを導入して分析を行ったところ,このS濃度範囲で高い定量性が得られた.また,得られた検量線のバックグラウンド発光強度に相当するS量(4.8 nL)から算出すると,0.004 ppmのSを含む水素ガスの品質評価に必要な水素ガス量は1.2 Lである.この結果は,本研究で開発した分析装置を用いることで,少量の水素ガスから品質評価を行うことが可能であることを示している.

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© 2020 The Japan Society for Analytical Chemistry
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