分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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高分子ゲルの膨潤をシグナル増幅の原理とするオプティカルグルコースセンシングフィルムの開発
遠田 浩司日下部 智陽山川 翔平菅野 憲
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2021 年 70 巻 3 号 p. 133-140

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抄録

ビスベンゾボロキソール(bisBB)レセプター─ジヒドロキシアゾベンゼン(DHAB)色素錯体が高分子の架橋点となるセミ相互侵入構造を有するジメチルアクリルアミド(DMAA)共重合オプティカルグルコースセンシングフィルムを開発した.このセンシングフィルムは,高分子の架橋点となっているレセプター─色素錯体がレセプターのグルコースとの競争的錯形成により解離し,架橋点減少に伴う高分子ゲルの膨潤によりグルコースに対する色変化応答が増幅される.8種類の組成の異なるフィルムを調製しグルコースに対する応答を評価した結果,DMAAに対して0.5 mol%のbisBBレセプターと0.14 mol%のDHAB色素を含むフィルムが生理的濃度範囲(0〜5.6 × 10−2 mol L−1)のグルコースに対して可逆で最大(5.6 × 10−2 mol L−1のグルコースに対し20%の吸光度変化)の応答を示した.

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© 2021 The Japan Society for Analytical Chemistry
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