分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
多項目尿検査のための距離検出型ペーパーデバイス
澤野 理花前島 健人柴田 寛之蛭田 勇樹Daniel CITERRIO
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2021 年 70 巻 3 号 p. 175-181

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抄録

比色分析における距離検出法は,温度計のように検出試薬の色変化の境界の位置を変色距離として読み取る直感的判定手法である.本研究では,この検出法を利用して尿検査の簡易化を目指し,尿中のタンパク質アルブミン,グルコース,ヘモグロビンを同時定量可能な距離検出型紙基板分析デバイスの開発を試みた.その結果,人工尿を用いた評価系において,それぞれの検査項目について定量的な変色距離応答を確認した.測定可能濃度域は,アルブミンで15〜1000 mg dL−1,グルコースで25〜2000 mg dL−1,ヘモグロビンで0.10〜2.0 mg dL−1であった.アルブミン及びグルコース測定においては,変色境界の視認性向上のために,それぞれアニオン性ポリマー,バイオポリマーによる紙基板の表面修飾を検討した.また,実応用を踏まえ,人工尿中の含有物質が距離検出結果に及ぼす影響を評価した.

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© 2021 The Japan Society for Analytical Chemistry
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