分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
細胞スケール微小空間内での微生物培養・検出技術
森田 雅宗大田 悠里野田 尚宏
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2021 年 70 巻 6 号 p. 335-340

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抄録

バイオテクノロジーや生命の起源において重要な存在である微生物は,地球上における様々な環境下で生息している.極限環境と考えられているような場所でも微生物は生存することが可能であり,それは細胞内という閉鎖された微小空間という非常に特殊な環境下でも生存可能である.著者らは,油中水滴型ドロップレットや脂質ベシクルという大きさが十〜数十マイクロメートルと細胞と同程度のスケールで細胞内と同様に閉鎖された微小空間内部で,微生物を培養し,その動態を解析する技術の開発を行っている.本論文では,細胞と同スケールの微小空間を特殊・極限環境と見立て,これまでに開発してきた微生物の培養と分析・検出技術について紹介する.新規の微生物培養・スクリーニング技術としてバイオテクノロジー分野への有用性を議論し,さらに将来的には,生命の起源において重要な細胞内共生モデルの研究などにつなげる可能性についても議論する.

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© 2021 The Japan Society for Analytical Chemistry
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