2022 年 71 巻 3 号 p. 159-166
グルコースオキシダーゼ(GOx),西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP),チタン酸ナノシート(TiOx),及び磁気ビーズ(MB)から成る材料,GOx/HRP/TiOx/MB複合体を開発し,磁石への応答能とグルコース検出用材料としての性能を検討した.pH 4の酢酸緩衝液中,静電的相互作用を利用することで,目的としたGOx/HRP/TiOx/MB複合体を作製することが可能であった.また,得られたGOx/HRP/TiOx/MB複合体は,磁石に対する優れた応答能と高い酵素保持能を有していた.酢酸緩衝溶液中,o-フェニレンジアミン(OPD)の存在下において,GOx/HRP/TiOx/MB複合体にグルコースを添加すると,OPDからの発色体形成に起因する450 nm付近の吸光度の増大が観測された.450 nmにおける吸光度(A450)の値は,グルコース濃度が増大するのに伴って増加し,一方,フルクトース,ガラクトース,マンノース,スクロース,マルトースを添加した場合は,A450値の大きな変化は観測されなかった.したがって,GOx/HRP/TiOx/MB複合体を用いる本分析法が,グルコース検出能と選択性を有していることが示された.本研究で用いた磁気ビーズへの酵素固定化法は,操作的に簡便かつ短時間で行えるため,分析ツールとしての様々な酵素固定化磁気ビーズを作製するうえで,有用性を発揮することが期待できると考えられる.