分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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隣接する2面の応答を独立かつ同時に測定できる金蒸着角型ガラス棒センサーの開発
満塩 勝吉留 俊史
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2022 年 71 巻 4.5 号 p. 261-267

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抄録

正方形の断面を持つ石英ガラス棒の隣接する2面に0と45 nm,または30と70 nmの異なる膜厚の組合せで金薄膜層を形成して表面プラズモン共鳴(SPR)センサーとし,一端から入射した無偏光を他端の偏光板で偏光方向を選択することで,SPR現象がp偏光のみで起こることを利用してセンサーの応答面を選択できることを見いだした.センサーの応答特性は多層フレネル等式を用いて計算された理論曲線とよい一致を示し,理論により応答特性の予測が可能であることも確認された.また,受光部の偏光板の代わりに偏光ビームスプリッターを用いて偏光を二つに分け,2面の同時かつ独立の測定を試みた.その結果,偏光ビームスプリッターの分離特性の影響を受けるが,2面の応答を同時かつ独立して測定が可能であることが分かった.これらの研究により,角型ガラス棒と偏光を組み合わせることによる応答面の選択という,センサー開発における新しいアプローチについての知見を得ることができた.

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© 2022 The Japan Society for Analytical Chemistry
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