2025 年 74 巻 1.2 号 p. 45-49
植物由来バイオマスを塩酸で前処理後,過マンガン酸カリウムを用いて酸化処理し,発現したカルボキシ基に生体内触媒であるリパーゼを吸着させ,バイオマスを基体とする固定化リパーゼを調製した.XPSにより,アミノ酸由来の窒素原子ピーク(399.9〜400.0 eV)が観測され,リパーゼの固定化を確認した.固定化リパーゼの吸着量は,ブナ<スギ<タケ<ケナフ<イネの順であり,草本系バイオマスが木質系バイオマスと比して多い.また活性は,ケナフ<イネ<ブナ<タケ<スギの順であり,木質系バイオマスが高い.リパーゼの吸着量はセルロース含有率,活性はバイオマスの高次構造を維持しているリグニン含有率に由来すると推察している.これらの結果から,リパーゼ活性が最も高いスギを基体とする固定化リパーゼをエステル化反応に使用した.モノカルボン酸とエタノールに固定化リパーゼを加えるとエステルが合成され,触媒としての利用が可能であった.