分析化学
Print ISSN : 0525-1931
年間特集「環」: 報文
魚類中揮発性メチルシロキサン分析法の開発と環境汚染評価への適用
堀井 勇一蓑毛 康太郎
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2025 年 74 巻 10.11 号 p. 593-602

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抄録

本研究では,パージ・トラップ(PT)法を応用して7種の揮発性メチルシロキサン(VMS)の魚類分析法を検討した.PT法を用いる前処理条件を最適化し,得られた一連の分析における方法の検出下限及び定量下限は,0.3〜0.8 ng g−1 ww及び0.8〜2.6 ng g−1 wwの範囲であった.さらに,開発した分析法の評価として,河川及び海域から収集した魚類試料を分析し,脂質含量で約15% までの試料に適用可能と示された.魚類中VMSの総濃度は,4.7〜10300 ng g−1 wwの範囲でD5が支配的であり,下水放流口付近の魚類から最高濃度が検出された.全魚類試料から得られた生物蓄積係数の範囲は,一部のVMSを除き高濃縮性の基準と重なるかこれを超えており,これらの化合物が高い生物蓄積能を有すると示唆された.本研究は,我が国の河川環境における魚類中VMS濃度を初めて報告するものである.

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© 2025 The Japan Society for Analytical Chemistry
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