分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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Multiplexed ISSR Genotyping by Sequencing法による植物資料の法科学的なデータ解析法の検討及び実試料を用いた評価
吉川 ひとみ黄 鶴柘 浩一郎
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2025 年 74 巻 3 号 p. 93-98

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抄録

MIG-seq法はゲノム中の単純反復配列周辺を比較する手法であり,種を問わず種内の多型を解析することが可能であることから,異なる遺伝的な背景をもつ試料を識別できる.植物資料の法科学的な鑑定の際には,一つの試料で2回解析を行い,その結果を総合的に判断している.本研究では,法科学的検査のために,2回のMIG-seqの解析結果を総合的に判断する最適な手法を検討した.試料の一塩基多型(SNP)を抽出した後,得られたSNPsを試料間で比較した.その方法として,2回のシーケンシング結果の結果を用いて,試料間で異なる塩基が検出されたSNPの数を計数した.計数の条件として,三つの条件を比較した.その結果,すべての試料で2回とも同じ塩基が読めていた座に加え,ある試料で2回のシークエンスで異なる塩基が検出された座も比較して計数した場合に,同じ地域で採取した植物体と異なる場所由来の植物体を識別することが可能であった.

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© 2025 The Japan Society for Analytical Chemistry
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