2025 年 74 巻 7.8 号 p. 329-333
燃焼等によって生成するベンゾ[a]ピレンは発がん性を持ち,大気や食品において規制値が定められているため,分析値に対する国際的な同等性が不可欠である.オリーブオイルに含まれるベンゾ[a]ピレンの校正能力に関する国際基幹比較(CCQM-K146)に参加するにあたり,産業技術総合研究所/計量標準総合センター(NMIJ/AIST)は,NMIJ CRM 4213-aをベンゾ[a]ピレンのトレーサビリティソースとして,炭素安定同位体標識体(13C4-ベンゾ[a]ピレン)を内標準物質として用いた同位体希釈質量分析法を適用し,ジメチルスルホキシドによる液─液抽出を行い,抽出液を精製後にGC-MSで測定を行った.結果は(2.79±0.17)μg kg−1(定量値±拡張不確かさ,包含係数kは2.78)であり,主な不確かさ要因はトレーサビリティソースに用いた標準液の不確かさであった.この結果により,NMIJ/AISTの校正能力の国際的な同等性を示すことができた.