2025 年 74 巻 7.8 号 p. 363-372
焼却飛灰は産業廃棄物として,有害性の観点から環境庁告示第13号「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」を用いて最終処分の可否が判定される.このような溶出試験は世界各国で実施されており,各国の規制により溶出試験に用いる溶媒(試験液)の種類や振とう時間などの試験条件が異なる.本研究では,一般廃棄物焼却処理場から得た都市ごみ焼却飛灰を対象に3種の溶出試験を実施し,各試験法における焼却飛灰中重金属の溶出挙動の差異を評価した.焼却飛灰中重金属溶出量のpH依存性を調査するために,試薬初期添加方式と連続調整方式により試験液のpHを調整する2種の溶出試験を実施した.溶出試験ごとに異なる重金属溶出挙動が確認され,試験液のpHが低い場合,重金属溶出量が増加する傾向にあった.試験液のpHは焼却飛灰中重金属の溶出挙動に影響を及ぼすと考える.