2025 年 74 巻 9 号 p. 419-426
近年,大気中におけるCO2濃度の増加を背景に,CO2の分離・回収技術への関心が高まっており,既存技術の高度化や新規技術の開発が急務となっている.CO2分離・回収技術の一つである化学吸収法は,CO2と反応基質を含む溶液との化学反応を利用して,低分圧(低濃度)のCO2を溶液中に溶解する手法である.この過程では,CO2が反応基質に直接結合する2分子反応に加え,溶媒自体が反応基質として関与する3分子反応も存在することが知られている.特に,3分子反応においては,溶媒のブレンステッド酸塩基性が反応の進行に重要な役割を果たす.著者らはこれまで,環境負荷の低い液体を溶媒とする溶液を対象に,溶媒が反応基質として関与する3分子反応の機構解明に取り組んできた.本論文では,(1)水,(2)イオン液体,(3)深共晶溶媒をそれぞれ溶媒とする溶液系について,それらの溶媒が反応基質として関与する3分子反応機構の特徴を概説する.