2025 年 74 巻 9 号 p. 549-558
水系リチウムイオン二次電池(ALIB)用電解液として,超濃厚電解質水溶液(SCES)が注目されている.しかし,現在報告されているSCESはLi+と配位していないバルク水が数十% 含まれており,これが電池性能の劣化につながると考えられる.一方でイオン半径の大きなアルカリ金属イオン(Cs+, K+など)は水分子同士の水素結合を破壊する程度に近隣の水分子を引きつける効果がある.本研究ではCs+, K+を添加することで電池性能にどのような影響を及ぼすのかをATR-IR/Raman分光,XPS分光及びインピーダンス法を用いて調査した.ATR-IR/Raman測定よりCs,K塩を添加したSCESにおいて,バルク水の割合が減少し,陰イオン周りの液体構造も変化することがわかった.これにより,電極界面に形成される被膜成分が変化したことが示唆された.SCESを用いたALIBのサイクル安定性は,イオン半径の大きなアルカリ金属イオンを添加した系の方がLi+を添加した系よりもよく,電極界面に形成される被膜成分の違いが影響を与えていると考えられる.