2026 年 75 巻 1.2 号 p. 61-66
木質バイオマスであるスギおが屑を塩酸で前処理後,過マンガン酸カリウムで酸化させ,スギを基体とする発色剤を開発した.この発色剤は,NaH2PO4から解離したリン酸二水素イオンに対して赤褐色を呈し,その極大吸収波長は474 nmであった.一方で,Na2HPO4,KH2PO4及びNH4H2PO4では全く発色を示さなかった.そこで,合成した発色剤を用いてNaH2PO4由来のリン酸二水素イオンの吸光光度定量の発色条件を検討した.反応体積25 mLにおける発色の最適条件は,発色剤添加量0.1 g,反応時間90分,反応温度25℃ 及びpH=4〜6であった.この発色剤をリン酸二水素イオンの定量に用いたところ,バッチ法は2.5〜25 mmolの範囲でr=0.995の良好な直線性を示す検量線が得られた.また,カラム法は0.5〜4.0 mmolの範囲で定量が可能であった(r=0.990).さらに,リン酸緩衝液におけるNaH2PO4由来のリン酸二水素イオンの定量についても検討したところ,5.0〜25 mmolの範囲でリン酸二水素イオンの選択的な定量が可能であった(r=0.991).よって,合成した発色剤はNaH2PO4由来のリン酸二水素イオンの選択的な定量に活用することができた.