抄録
ステンレス鋼,耐熱合金などのチタン分析法の一つとして,リン酸溶液によるポーラログラフ法について検討した.試料を王水で分解して過塩素酸白煙処理をおこなう.希釈してEDTAを加え鉄などを隠ぺいし,アンモニア性としてチタンを沈殿分離する.ロ紙上から一定量の温リン酸を加えてチタンを溶解し,希釈してポーラログラムを記録させる.ニオブを含む試料ではシュウ酸を加えて加水分解を防ぐが,それ以外は共存元素の影響について考慮する必要はない.また,モリブデンを含まない鋼種ではチタンを分離する必要もなく,過塩素酸処理後硫酸ヒドラジンを加えて鉄,クロムなどを還元し,リン酸を加えて直ちにチタンを定量することができる.